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レモンという素材と真摯に向き合いたい【自社レモン農園ができるまで/前編】

※本記事は2022年4月に「ポッカサッポロ公式note」で公開した記事の転載となります

私たちポッカサッポロは、「レモンの価値を通して、みなさまのお役に立ちたい」「国内にレモンをしっかりと根付かせたい」そんな思いのもと、長年にわたりレモンの素材研究やレモン商品の製造・販売に携わってきました。

 昨今では、レモンを使っていただく機会やシーンが広がってきたことで国産レモンの市場が伸長していますが、その一方で、国産レモンの生産が追いつかないという厳しい現実も……。
そこで、私たちは生産に関わるレモン農家の現状を知り、国産レモンをさらに活性化していくため、2019年4月より広島県大崎上島町でレモン栽培を開始しました。

 レモン農家をはじめ第一次産業が抱える課題にどう向き合っていったのか、自社農園で自らレモン栽培に取り組んだ土屋さんに話を聞きました。

土屋 淳一
ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社 レモン・プランツミルク事業本部 オールレモン事業部 国内産地形成グループ グループリーダー
2000年入社。現在は2022年3月に新設した組織にて、国産レモン最大の生産地である広島をはじめ、レモンの生産振興を地域やパートナーと共に進めている。

所属は記事公開当時(2022年4月)

国内のレモン農家が抱える課題解決も、私たちのミッション

私たちの事業は、レモンなくしては語れません。しかし、国産レモンが日本のレモン市場に占める割合はわずか数パーセントしかないのが現状です。国内において持続的にレモンの需要を拡大し、この事業を長く続けていくためには、国産レモンの抱える課題を当事者として知る必要があると強く感じました。

 なぜ、国産レモンが少ないのか。その理由は、農業を含む第一次産業全体が抱えている課題ともいえる、生産者の高齢化や担い手不足にあります。作り手が減ることで生産や供給が不足していくのはもちろんですが、それだけでなく、耕作放棄地が増えるという大きな課題もありました。

 農地として使われなくなった土地を耕作放棄地といい、管理が行き届かないまま放っておくことで土地は荒廃してしまいます。そうなると次の担い手ができても、すぐに活用することが難しくなってしまいます。

私たちはレモン農家の課題を解決するために、耕作放棄地を整備し、自らがレモン栽培に携わることで地域に貢献したいと考えたのです。


レモンを通じて、地域のためにできることを

ポッカサッポロは「H+ESG経営」を掲げていて、社会と真剣に向き合い、必要とされる企業であることを目指しています。地域共創もそのひとつ。
食に携わる以上、食を生み出す産地を知らずして、食を語ることはできません

 だからこそ、レモン事業をやる上で「川上」のレモン農家や産地の課題を解決することはとても重要なこと。地域やレモン農家に寄り添った活動体制を整え、持続可能な国産レモンの生産振興のために自社農園に取り組むことにしました。

ポッカサッポロの「H+ESG経営」とは
「ヒトと植物のおいしい関係」という方針のもと、毎日の食生活を通して人々の健康に貢献し、地球環境や地域社会の課題に向き合い、「持続可能な社会の実現」と「企業の持続可能な成長」の両立を目指していくこと。
※Health(健康)、Environment(環境)、Social(社会)、Governance
(ガバナンス)

大崎上島町はまさに、レモンの島

自社農園を立ち上げるにあたっては、2013年に広島レモンの需要拡大やブランド価値向上を目指し、広島県とパートナーシップ協定を結んだことが大きなターニングポイントとなりました。この協定をきっかけに、広島レモン振興の取り組みを行ってきましたが、地域活性のためにはやはり、レモン農家の方々が直面している課題をもっと深く知る必要があると思いました。そのためには、広島県の大崎上島町をレモン栽培の候補地にすることはとても重要なことでした。

大崎上島町は、もともとレモン栽培の盛んな地域でした。瀬戸内海の温暖な気候に恵まれ、国産レモンの一大生産地としてレモンへの意識が高いからこそ、企業として私たちが参入した際にいろいろとご協力いただけるのではないかという期待もありました。

  実際に、大崎上島町の行政やJAの方々にいろいろとご相談し、農地が出たときにも声をかけていただきました。その農地は田んぼとして使われていた場所で、レモンの栽培に適していました。甘くするために日当たりの良い山の斜面が最適なみかんとは異なり、レモンの場合はあまり甘さが関係ないので、平地の方が作業効率的にも非常に良かった。そこで農地を賃借し、いよいよレモン栽培への準備が始まったのです。


レモンに本気な会社として、レモンで地域を盛り上げたい。そんな想いを持って挑んだ、ポッカサッポロ自社農園への取り組み。
後編では、土おこしから、初植え、初収穫へ。地域の方々とのつながりや苦労の連続だった日々についてお届けします。