見出し画像

恵比寿ガーデンプレイス30周年にかけた想い

私たちサッポログループの本社がある恵比寿は、1890年に日本麦酒醸造会社(サッポロビールの前身)が「恵比寿ビール」を造り始めた場所で、当時は荏原郡目黒村と呼ばれていました。1901年にはビール専用の貨物駅「恵比寿停車場」ができ、その後旅客駅「恵比寿駅」ができたことで、地名も「恵比寿」となりました。この地で約100年にわたりビール製造を続けてきましたが、ビール市場の伸長と製造キャパシティ、都心部の物流事情などの課題から一旦幕を閉じ、ビール製造は千葉工場に引継ぎ、1994年に恵比寿ガーデンプレイスとして生まれ変わりました。

恵比寿ガーデンプレイスにとって、今年は開業から30周年。
4月には「YEBISU BREWERY TOKYO」が開業し、35年ぶりにこの地でビール醸造を再開するという、サッポログループにとっても記念すべき年となりました。ヱビスブランド×恵比寿の街を掛け合わせることで恵比寿ガーデンプレイスだからこそできる体験を届けたい。そんな思いから発足した30周年記念プロジェクト「みんなでつくるビールプロジェクト from YEBISU BREWERY TOKYO」の舞台裏について、責任者の須貝さんに聞いてみました。


サッポロ不動産開発 恵比寿事業本部 企画部 
須貝譲(すがい ゆずる)
2013年サッポロビール入社、北海道と東京で流通営業に従事した後に2022年にサッポロ不動産開発に出向、現在、恵比寿ガーデンプレイスや銀座プレイスを担当している恵比寿事業本部の事業計画の策定・推進の業務を手掛ける。

恵比寿ガーデンプレイスの価値をどう伝えていくか。

プロジェクトについて熱く語る須貝さん

――今回の「みんなでつくるビールプロジェクト from YEBISU BREWERY TOKYO」は半年間にわたる長いプロジェクトだったと思うのですが、どのような目的をもって開催したのでしょうか。
 
今回のプロジェクトの目的を一言で伝えると「働く、遊ぶがちょうどよく交わる恵比寿ガーデンプレイスの価値を伝えていく」ことになります。
恵比寿ってバランスのいい街だと思っていて、ビジネスに特化しているでもなく、エンタメに特化しているでもなく、恵比寿ってその中間、オフィスもあるけど、おしゃれでおいしい飲食店も多かったりするので、働いている人がいたり、遊んでいる人がいたりしていて、それぞれが絶妙なバランスで溶け合っている。それが恵比寿の街だと思っています。
特に恵比寿ガーデンプレイスは働く機能が充実していることに加えて、本年4月に開業したYEBISU BREWERY TOKYOというヱビスのリアル体験拠点もあるので、この二つを掛け合わせることで面白い取り組みになると感じました。それで今回は「みんなでつくるビールプロジェクト」を開催することにしました。
普段恵比寿で働いている人がビール造りに参加することで、働いているだけでは味わえない体験ができ、それを通じて心が豊かになったり、さらには、ビジネスに繋がったりしたらいいなと思いましたね。

アイディアからビール造りまでワーカーと共に歩んだ半年間

――街とビールの融合って素敵ですね。今回実施した「みんなでつくるビールプロジェクト from YEBISU BREWERY TOKYO」概要を教えてもらえますか。

4月17日にキックオフがあって、最後のイベントが10月8日なので実に半年間のプロジェクトでしたね。「みんなでつくるビールプロジェクト from YEBISU BREWERY TOKYO」の流れは以下になります。

4月17日: YEBISU BREWERY TOKYOでキックオフ
100人を超える応募から抽選で選ばれた30人のプロジェクトメンバーがYEBISU BREWERY TOKYOに集結。ヱビスブランドより、「恵比寿という街とヱビスのつながり」について説明後、YEBISU BREWERY TOKYOの醸造責任者有友さんによる、ビールのセミナーや恵比寿ガーデンプレイスとヱビスにちなんだクイズ大会、ブルワリーツアーを行いました。

ビールセミナーの様子
セミナーで講義をするYEBISU BREWERY TOKYOの醸造責任者有友さん

 4月24日:JR恵比寿駅でホップ栽培体験
JR恵比寿駅(東口)にて栽培するホップの手入れ、管理方法を学び、ワークショップにて実践しました。
ホップを植えるプロジェクトメンバー

 5月~7月:ワークショップ(全3回)
5月~7月:ワークショップ(全3回)プロジェクトメンバーとともにワークショップを通し記念ビールをコンセプトから考えました。毎回、ヱビスビールでの乾杯でスタート。恵比寿ガーデンプレイスの魅力などを議論する中で、たくさんの新しいアイディアが生まれました。多くのアイディアをどうやってビールに落とし込んでいくかということをその後ヱビスのブランドチームで検討し、コンセプトとして落とし込みを行っていきました。
第1回:コンセプトについて議論
第2回:デザインやネーミングについて議論
第3回:キャッチコピーや告知物について議論

議論するプロジェクトメンバー

7月2日~7月8日:恵比寿の街の人によるWEB投票
恵比寿の街のみなさんによるWEB投票を実施し、ワークショップで最終的に残った3案から実際に使用するデザインを決定しました。

投票いただいたデザイン案

8月30日: YEBISU BREWERY TOKYOで醸造(仕込)体験
YEBISUBREWERYTOKYOにて、YEBISU BREWERY TOKYOの醸造責任者有友さんの指導のもと、麦芽の投入を行い、自分たちの手でビール造りを体験しました。

麦芽の投入を行うプロジェクトメンバー

10月8日:30周年記念ビールのお披露目&乾杯イベント
8月にYEBISU BREWERY TOKYOにて仕込んだビールが無事に完成し、「空とレンガと私の午後」という商品名で恵比寿ガーデンプレイス内で限定発売されました。渋谷区の長谷部区長はじめ、プロジェクトメンバーも一同に集まり、ビールの完成を盛大に祝いました。

30周年記念ビールのお披露目&乾杯イベント
30周年記念ビール「空とレンガと私の午後」

猛暑によってまさかの事態に・・・

―――すごく盛りだくさんなプロジェクトでしたね。今回の取り組みを通じて一番大変だった思い出はありますか。

一番大変だったのはホップの栽培ですね。恵比寿駅という都会のど真ん中でホップを育てるためにヱビスのブランドチームと何回も打合せをして、準備をしてきました。
その後も恵比寿駅にはちょくちょく足を運び、生育を見守っていたのですが・・・残念ながらその後はホップの花がなかなか咲かなかったんです。もともとホップは多年草で植えた初年度の収穫は厳しいと言われていて。社内外の専門家にアドバイスをもらい最善の策をもって生育していたのですが、今年は記録的な猛暑にも見舞われてしまって、8月の製造に間に合いませんでした。当初の予定では8月に収穫して、ビールの仕込み工程で使用し、10月のビールお披露目会には恵比寿産のホップで造ったビールを皆さんに飲んで頂くのがひとつの目標だったので、間に合わないと知った時は本当に悔しくて、残念でした。
今回の醸造には間に合わなかったのですが、遅ればせながら10月にホップの花が咲き、11月にホップ収穫ができる見込みです。

現在の恵比寿駅ホップの生育状況(11月11日時点)

恵比寿ガーデンプレイスから新たな「気付き」や「ひらめき」を

――今回のプロジェクトを通じて、新しい発見や今後の展望があれば教えてください。
 
今回のプロジェクトを通して、参加者の皆さんからもたくさんの声を頂きました。
「メンバー同士でビールについて議論したり、開発担当の有友さんのお話を伺ったりすることで、普段飲むビールがより特別なものになりました。」「普段は接することのないワーカーの皆さんとの交流の機会があったので、交流の和が広がりました。」など、単にビールを作るだけではなく、ビールの愉しさや奥深さなどを感じてもらい、さらにはメンバー同士の新しい出会いがあったことなどを聞けて、本当に嬉しかったですね。
まさに恵比寿ガーデンプレイスで働く魅力を実感してくれたので、プロジェクトしても成功だったかなと思います。
 
今後の展望としては、恵比寿の街の働くと遊ぶをシームレスにつなぐこと、一見すると異なるものが融合することにより価値が生まれると信じています。その価値とは何か、私たちはひらめきに繋がると思っています。恵比寿の街のビールの歴史や文化、グルメやアートの要素も含めて、何かを感じ取ってもらって、ひらめく。恵比寿の街が、「ビールがつなぐ出会いと創造性にあふれる街」にしていきたいですね。

半年間の集大成となるビールお披露目イベントを見守る須貝さん

インタビューを終えて

今回、須貝さんの取材を通じて、ヱビスブランドと恵比寿の街のつながり、恵比寿ガーデンプレイスの魅力をたくさん聞かせてもらいました。
恵比寿ガーデンプレイスにはYEBISU BREWERY TOKYO以外にもブルーノート・プレイスでジャズを聞けたり、シネマがあったり、文化やアートの施設もたくさんあります。いつも日常と非日常が両立する街、日常の生活の中にちょっとした非日常のコンテンツがある恵比寿ガーデンプレイスでした。
遊ぶと働くが混じり合い、創造性とひらめきが生まれる街づくりの背景には、もっと多くの人に恵比寿の魅力を感じてほしいと強く想う社員の姿がありました。これからも恵比寿ガーデンプレイスで多くのひらめきと共に過ごしていきたいと思います。

この記事が参加している募集